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全国各地の商店街活性化の事例から、「商店街活性化のヒント」になるノウハウをご紹介します! 商店街支援ノウハウ

地域のニーズと自分たちの課題を見極め、積極的に連携を各種連携

インタビュー:渡辺達朗氏(専修大学商学部教授)

コミュニティの担い手として、商店街は何が提供できるのか

商店街活性化という流れで見ていくと、80年代までは、アーケードを設置したり、駐車場を設けるといった、いわゆるハードを整えることが客足につながる時代でした。80年代後半になると、ハードを整えたからといって、人が来る時代ではなくなり、その反省から、今度はソフト面をより充実させ、地域の人たちとつながりを持とうという動きになりました。さかんにイベントが行われるようになったのです。ところが、2000年代に入ると、「イベントをやれば人は来るが、さっぱり商店街の売上にはつながらない。なんのためにイベントをやっているのか」という声が漏れ聞かれるようになり、“イベント疲れ”という言葉もしきりと言われるようになりました。

こうした過程を経て、商店街の価値は何かということに立ち戻り、地域に何を提供できるのかということを考え直さなければならない時代になっているのは間違いありません。多くの商店街が大型店に押され、将来どころか現状維持も難しくなっています。それを打開するためには、物販という枠にとらわれずに、地域の人たちがどんなことを求めていて、自分たちの商店街では、その中でどんなことを提供できるのかをつきつめていく必要があります。地域の社会的なニーズを満たすことで人が来るようになれば、それをきっかけに新たなビジネスチャンスも広がっていくに違いありません。

商店街は、地域のコミュニティの担い手となるべきといわれていますが、実際はなかなか今までの考え方を変えられないでいるようです。しかし、真のコミュニティの担い手となるには、地域にどんなニーズがあるのかを具体的に把握することが何より重要なのです。

地域のニーズを把握して、何が提供できるかを考える

わかりやすい例でいえば、地域が高齢化していれば、高齢者の介護の問題があり、子育てママさんが多い地域であれば、子育てを支援するような機能が地域の大きなニーズとしてあるでしょう。

もちろん、商店街は万能ではありませんから、すべてのニーズを満たせるわけではありません。まずは、今の力量で自分たちに何ができるか、また、足りない機能を補うためには、どういった人たちと交流を図っていくべきかを考えるところから始めればいいのではないでしょうか。

例えば、子育て支援のニーズがある地域にそうしたサービスの提供者が現れれば、新しい客層の人通りが生まれます。その利用者に対し、品揃えはいまのままでいいのか、接客やサービスを多様化させられないか、彼らが必要としているものを自分の店でも提供できないかを考え直す必要があります。

また、そうした連携のきっかけを得るためには、商店街の側からの積極的な働きかけも不可欠です。商店街の門戸を広げ、あらゆる方向にアンテナを伸ばしておけば、実は「商店街という立地を求めていた」、あるいは「空き店舗を利用したいと考えていた」という人との出会いにもつながるものです。

目的が異なる者同士、ぶつかりあってこそ歩み寄りが生まれ、真の連携に発展する

連携には、さまざまな可能性があります。地域の生産地とのつながりを深め、農産物の販売やそれを活用した商品開発を行ったり、消費者の声を生産者に届け、ニーズに合わせた農産物を生産してもらうといった連携のしかたもあるでしょう。商店街それぞれの地域性によって、さまざまな広がりが考えられます。これまで商店街と無縁だった人や農家などの異業種、高齢者や子育てを支援するNPO法人、そのほかにも、学校などの教育機関と連携していくという方向もあるでしょう。

ここで気をつけていただきたいのは、彼らは、異なる目的・価値観を持った人々ですから、今までとは異なるコミュニケーションが必要になることです。外から商店街に入ってきた人たちからすれば、「なにやら閉鎖的だ」と印象を持つこともあるでしょう。あるいは、商店街の側からすれば、「よくわからない人たちが入ってきた」と感じ、お互いに初めは理解し合えないこともあるものです。

大前提として、「目的が異なる者同士」なのだという認識のもと、それぞれがどういうメリットを生み出していけるかを共同で探っていくことが大事なのです。相互理解が深まるなかで、商店街は自らの欠点を認識したり、新しく変わっていかなければならないという意識を高めることにもなると思います。そのためには、本音でぶつかり合う必要があるのではないでしょうか。

異業種やさまざまな団体との連携を考える時、どのように協力関係が醸成されていったのか、そのプロセスにこそ連携をカタチづくるヒントが隠されているのです。

また、何事も組織全体で動こうとすると、意思疎通を図るだけで大変な作業になり、遅々として進まないということがありますが、まずは少人数であっても意欲のある人たちが動くことから始めるのがいいのではないでしょうか。そして、一部や若手から連携しようという意見が出てきたら、そうした新しい動き・アイデアを支えてあげられるような組織であってほしいものです。試験的に期間限定の連携イベントを行い、手ごたえがあったら発展させていくというのもいいかもしれません。

連携のカタチは、商店街によってさまざまです。いかなるカタチであっても、地域のニーズと自分たちの課題をしっかり見極め、自ら主体的に考え、変わるべきは変えながら、異なる目的を持つ者同士、根気よく議論を重ね、WIN×WINの関係性をつくっていくことで、地域に求められる商店街のあるべき姿が見えてくるのではないでしょうか。

プロフィール

渡辺達朗(わたなべ・たつろう)

横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程修了。新潟大学、流通経済大学を経て現職。専門は流通論・流通政策論。中小企業政策審議会商業部会委員ほか国・自治体の委員なども歴任。

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