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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

商店街の10年後を目指したビジョンづくり~商店街の組織力強化事業(平成25年度実施)~ 地域振興

「10年後はこんな商店街にしたい」—— ベテランから若手まで皆が一緒になって、自分たちの商店街の「未来」や「夢」を語り合う「商店街の組織力強化事業」。 空き店舗やアーケードのハード面から、イベントやサービスのソフト面まで、「ありたい姿」を1枚の模造紙に描いて「未来希望図」を完成させる。そのプロセスを通じて、山口市商店街連合会の7つの商店街は、一致団結して今後の商店街を考える。

商店街名 山口市商店街連合会(山口県山口市)

3回の研修を通じて皆の想いが結実した「未来希望図」(3グループのうちの1つ)

心を開いて話し合う「きっかけ」がなかった

山陽新幹線が乗り入れるJR新山口駅から、在来線で約20分。JR山口駅から県庁に向かって北に伸びる通りと、それに交差する東西の通りに、7つの商店街がある。
7つは隣り合わせだが、心を開いて話し合う「きっかけ」がなかった。そう振り返るのは、山口市商店街連合会の北條栄作会長。今必要と感じたのが、組合員間の“つながり”。さらに商店主同士や異なる世代間の“まとまり”。これまでもワークショップなどを行なってきたが、期待する成果が得られていなかった。参加した若者からは「その後のフィードバックもなく徒労感を覚える」などの声が寄せられた。
「商店主たちは、商店街活動に参加するのが嫌なのではなく、参加するだけの研修に対して疑問を感じていた。組織の縦横のコミュニケーションを深め、若者や女性、そしてよそ者の意欲ある起業家が元気に活躍できる場をつくりたい。そのために、一方的なワークショップではなく、7つの商店街が1つになり考える場がないか」。そう北條会長は考え、2年前から現職の有田實タウンマネージャー(山口市中心市街地活性化協議会)と相談。「今までのワークショップとは違う」と手を挙げたのが「商店街の組織力強化事業」だった。

有田實タウンマネージャー

北條栄作会長

夢を語り合うワークショップが「チーム力」を育む

まずは皆で「商店街が将来どうありたいか」という夢を共有して組織のまとまりをつくりたい、それがこの事業を選んだ理由だ。「商店主は皆一国一城の主で忙しく、時間の拘束はお店の営業に支障が出る。でも、この事業なら3回の研修で皆が取り組みやすい」と北條会長。また、「初めから個店独力でがんばるより、グループで動くほうが無理なくハートに火が点けられる」と有田タウンマネージャーは、この事業のメリットを話す。
1回目の研修では、成功事例を生みだした実践者の話を聴いたあと、3グループに分かれリーダーを選出。さまざまな世代・役職が混じり、チームが組まれる中、先輩たちも一緒なら心強いと若い世代が積極的にリーダーになった。「未来希望図」をつくるための行動の指針を立て、自分たちの「強み」を出し合った。2回目の研修は別の成功事例実践者の話を聴いたあと、自分たちの「商店街のありたい姿」を話し合った。こうした場で理事長など先輩と話をするのも若者にとっては新鮮だった。
「自分ならこんな商店街にしたい」という夢を語り合うワークショップと、研修がない日も集まって作業することで、組織としてのまとまりが芽生えていった。
「10年後のありたい姿を描く」というテーマがよかった。「夢を語ることは、『できない』『足りない』というネガティブな発想から脱却できます」と有田タウンマネージャー。

合同懇親会で市長に「未来希望図」発表

こうして、山口市商店街連合会が描く「未来希望図」が3回目の研修で完成。そこには、
●「遠くからでも山口に行きたい・買いたい、日本一の商店街」
●「『モノを売る』だけでなく、『小さな幸せ』を感じていただける街」
●「老朽化した『市民会館』を、クラシックコンサートができるホールに建て替え」
●「音楽フェスティバル」
●「10年後必ず笑顔になれる商店街」
などのビジョンが踊っていた。商店街の中にあった高い壁が取り払われ、多世代がチームとして1つになった瞬間だった。
その取組みが結実したのが、本年1月末、7つの商店街が合同で初めて開催した新年会。市長はじめ行政関係者に、3グループの「未来希望図」を発表。官民揃う場で7つの商店街でまとめられた決意が確認され、新しい一歩を踏み出した。数年前には想像できなかった商店街の「チーム(組織)力の高まり」は、北條会長にとって感慨深かった。

しかし、余韻に浸ってばかりはいられない。「この事業に取り組んだのは正解。ただ、これはきっかけにすぎません。次のステップに踏み出すのが大事。次世代の担い手たちが楽しく活躍できる場が生まれて初めて商店街が変わる」。北條会長は力説する。この事業のテーマである10年後のビジョンづくりも大事だが、実際のビジョンに向かって全員で考えて活動し、マインドを共有しながら高めることも重要。今回の事業で強化された「組織力」をもとに、次はいよいよ「商店街活性化計画作成支援事業」に応募して夢の具現化に踏み出す。

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