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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

“長”をつくらずゆるやかに 自律分散型でめざす未来 地域資源 地域振興 空店舗活用 情報発信 個店活性 創業促進 人材育成 コミュニティ その他

活性化に向けた取組みは、持続的な発展が大切だ。そこで、かつて注目を集めた商店街の取組みが、現在、どう進化を遂げているのかを追跡取材した。

【組織づくり】
平成23年度 商店街活性化モデル創出事業 他
「ものづくりの街」という特色をいかし、
クラフトマンを中心とする新規開業者の誘致を行った

街の担い手
2012 第一世代 ⇒ 2017 第三世代〜

商店街名 御田町商店街/長野県諏訪郡下諏訪町
     

 小規模な精密機器工場が多くある環境をいかし、21世紀に入ってから、ものづくり工房の開業者を誘致し始めた御田町商店街。
「来る者は拒まず、去る者は追わず」のスタンスで若き出店者と交流を図った結果、全国でも稀有な、“長”をつくらない商店街へと発展を遂げた。








豊かさの意味を問い 新たな価値観を創出

NPO法人匠の町しもすわあきないプロジェクト・専務理事の原雅廣さん。’02 年から御田町商店街と関わるようになり、まちの活性化に力を注いできた

 ’00年代前半より外部からクラフトマンを呼び込み始めた御田町。
現在、空き店舗はほぼ埋まり、移住希望者は物件が出るのを待つほどの状況になっている。ものづくりに取り組む人にとって、御田町商店街は憧れの街になりつつあるようだ。

 移住者を受け入れるにあたっては、’97年に結成された「みたまち おかみさん会」が重要な役割を担う。
商店街の奥様方で構成される同会は、空き店舗の家賃交渉から移住後の生活サポートまで、きめ細やかなバックアップを実施。また、御田町のまちづくりの中心人物・原雅廣さんによると「みなさん商売人だから、人を見る目は確か。だから、彼女たちが信頼した人は、私たちも信頼できる。〝おかみさんフィルター〞と私は呼んでいます(笑)」。





 おかみさん会を第1世代とするなら、新たに移住してきた人々は第2世代。クラフトマンやクリエイターは、人と人がゆるやかにつながる御田町で、のびのびと創作活動に打ち込んだ。代表例として、「すみれ洋裁店」(布小物)や「あざみ工房」(織物)、「千万音(ちまね)」(スピーカー)の店主らが挙げられる。

 その後、魅力的な人が魅力的な仲間を呼び込み、コミュニティはより強固になっていく。第3世代と呼べる斉藤希生子さんは「マスヤゲストハウス」をオープン。自分が惹きつけられたまちの個性・魅力を発信していこうと、誰もが気軽に立ち寄れるコミュニティスペースを有志とともに完成させた。

 明治時代、製糸業の発展により外部から多くの人が流入してきた御田町では、他者に対して寛容な風土が育まれてきた。それゆえ、街の人々は、一度迎えた仲間をこまやかにケアするが、決して何かを押しつけたりしない。そしてリーダーを作らない「自律分散型」の組織運営を心掛け、個々の主体性に任せる。結果、御田町ブランドの展覧会「BiDA(ビダ)」や、「少年少女の星コスモス」といった独創性に富むイベントが誕生。御田町商店街の個性に磨きがかかっている。

 そして今、まちに育まれた第2、3世代は、将来御田町を担う子どもたち(第4世代)に思いを伝えようとしている。「ものづくりの街だからこそ、お金だけではなく、暮らしの豊かさや人の魅力を大切にしたい」と「コスモス」を主催する青年部長河西優子さん。御田町商店街は独自の方法論で新たな道を切り拓こうとしている。



【コラム】“御田町らしさ”を、楽しく伝える個性派イベント

青年部が運営する個性的なイベント「少年少女の星 コスモス」。地域の子どもたち、商業者が交流するきっかけの場にも

「ものづくり工房のまち」を掲げ、多様なジャンルのクリエイターやクラフトマンが全国から集う御田町商店街。現在では新たなイベントや滞在拠点も生まれ、ものづくりにとどまらない魅力を発信している。もともとの住民、クラフトマンたち、そして新たに街に移り住んできた人々が、交流しながら独自に街の活性化を図っているのが特徴だ。

そんな中、未来の街の担い手たる子どもたちへ「御田町らしさ」を伝えようと2013年にスタートしたのが、前述の「少年少女の星COSMOS(コスモス)」だ。毎年秋に開催されているこのイベントには、子どもたちが運営する売店や書道などのパフォーマンス、ものづくりワークショップなど、楽しいプログラムが満載。そして注目すべきはその独自の世界観だ。架空の星が商店街に着陸したという設定で、子どもたちはパスポートを持って星に「上陸」し、架空通貨コスモを使って買い物などを楽しむことができる。パスポートには細かな設定が書かれるなど、つくりこまれた世界観が子どもたちに人気だ。

この個性的なスタイルについて、主催する御田町商業界青年部長・河西優子さんは
「クラフトマンが活躍する街なので、『好きなことを追求する楽しさ』をメッセージとして届けたい。人と違ってもいいんだよ、と。また、『商店街って楽しい場所なんだ!』と感じて、大人になっても商店街に関わり続けてもらえたらうれしいですね」と話してくれた。



  
★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2017 Autumn(秋号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。
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