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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

女性たちの活動も力に。ニーズをつかんで課題を解決 地域振興 子育て・高齢者支援 空店舗活用 コミュニティ

活性化に向けた取組みは、持続的な発展が大切だ。そこで、かつて注目を集めた商店街の取組みが、現在、どう進化を遂げているのかを追跡取材した。

【空き店舗対策】
平成22年度 商店街活性化支援プログラム事業 活用
徹底した調査のもと食とコミュニティ機能を兼ねた
「こむ・わかさ」オープン。商店街の集客拠点となる

新規店舗
2012 こむ・わかさオープン ⇒ 2017 18店

商店街名 若桜街道商店街振興組合/鳥取県鳥取市
     

'12年3月のオープンから半年で来店10万人を達成したベーカリー&コミュニティスペース「こむ・わかさ」。

かつての空き店舗が、食を通じた多世代交流拠点へとして地域住民に支持されて5年が経つ。今、商店街は次なる課題に向かい、一歩踏み出そうとしている。












地道なリサーチで 地域ニーズをとらえる

 香ばしい焼きたてパンの香りと子どもたちの弾けるような笑い声が心地良い「こむ・わかさ」。 
70種を超えるパンが揃うベーカリースペースには地元の農産物や惣菜も並び、昼時には近隣のビジネスパーソンが足を運ぶ。パンにコーヒーがついたモーニングは216円と財布に優しい価格設定で、こちらは高齢者に好評だ。キッズスペースを備えたコミュニティスペースは、気軽にお茶ができると子育て世代からの認知度も高まっている。
「ここまで成功できたのは、地域の皆さんが必要としているものを徹底的に調べたからです」
 そう話すのは若桜街道商店街振興組合理事会長・渡辺博さん。「こむ・わかさ」立ち上げの中心人物だ。
「通勤や通学する約300人のアンケートや主婦層からのヒアリング調査(平成22年度商店街活性化支援プログラム事業を活用)をじっくりやりました」
 そうして見えてきたのは、高齢者の〝孫育サポート〞と子育て世代・共働き世帯のニーズ。
 緻密なマーケティングが功を奏し、「こむ・わかさ」の来客数は現在年間約20万人。この春ついに累計100万人を突破した。


元銀行の建物を改装した「こむ・わかさ」。オレンジのテントがいきいきとした印象

ベーカリーには毎日焼きたてのパンが並ぶ

ベーカリー横のコミュニティスペースでは書道教室や歌声喫茶も行われている

女性たちの活動が 新たなまちの力に

「まちゼミ」は年1回のペースで開催。バザールの同時開催や、男性向け講座など毎回新しいチャレンジをする工夫も

「こむ・わかさ」と同じくらいまちに新しい風を送り込んでいるのが「まちづくりレディース鳥取」。商店街の垣根を越え、近隣にある7つの商店街をまたいで活動する女性たちだ。

’03年から店舗のウインドウにアーティストの作品などを飾って彩った商店街を巡ってもらうイベント「はな*はな鳥取回廊」を開催していたが、10年が経ち継続する難しさや活動のあり方を模索していた。そこで「自分たちだから提供できることを見つめ直し、そして辿り着いたのが、専門店ならではの知恵や知識をお客様に直接伝える『まちゼミ』だったんです」と会長・池本百代さんは語る。

「まちゼミ」開催にあたり店舗データや商店街マップは「はな*はな鳥取回廊」での活動を下地に、それぞれ得意なメンバーが担当。準備はスムーズに進められ、初めての試みにもかかわらず、第一回目は59もの講座が実施された。メンバーの金居恵理子さんは「人に教えることを躊躇される店主には同時開催のバザールへの出店をお願いしました。さらに受講者へ渡すパンフレットにクーポンをつけてバザールへ誘客したんです。こうして連帯感を強めていきました」と話す。

 今後は、男性向け講座や会社帰りに参加できる夜間の講座、予約不要の講座も計画。さらに「店主向けSNS講座でPRも強化しています」と池本さん。

「受講者のなかには『店主と交流する方法がわからなかった』という人もいて、新鮮な驚きがありました。お客様との距離を縮めたこの企画だからこそ届いた声。会の活動に参加する仲間も増え、『まちゼミ』の収穫は大きいです」



       


   若桜町、八頭町といった中山間地との交流を目的にした「若桜往来マルシェ」は開催15回目。農産品を求め市内外から多くのが。
   「こむ・わかさ」へ足を運ぶ機会にも
 

まちのにぎわいを 一店一店の繁盛へ

 利便性や付加価値を着実に向上させてきたが、今後の課題は「こむ・わかさ」のにぎわいをどう各個店へつなげるか。’15、’16年には「繁盛店づくり支援事業」にも取り組んだ。「すぐ実践できる基本から学べたことで、商売に不安を感じていた娘も店を引き継ぐ自信につながったようです」と金居さん。早速ディスプレイを工夫するなど実行に移す店舗も出てきた。

 繁盛店づくりは事業承継のヒントにも。理事長の山縣勇太郎さんは「ここ数年で18店舗が新規出店しましたが高齢化が進むなか、事業承継は急務。たとえばシェアショップのような形態を用いて、空き店舗にならぬように対応策を検討しなければなりません」と話す。こうした取組みをサポートするのが、鳥取県中小企業団体中央会の西尾浩一郎さん。「各店舗が繁盛し、商店街が変化する地域ニーズに対応していけるよう、市や近隣地域とも協力・連携してバックアップしていきたい」と語る。

 今後について、渡辺さんは「子育て世代の固定客化をめざし、’18年3月には5周年を契機に、『こむ・わかさ』の機能向上を計画しています。『まちゼミ』を中心とする女性たちの活動も〝地域やお客様のニーズを入念に調べる〞という姿勢がしっかり受け継がれており、今後も商店街の大きな力になってくれるはず」と期待する。

 商店街が取り戻したにぎわいと、女性たちの実行力が刺激し合うこのまちの変化に、今後ますます目が離せなくなりそうだ。

 

 
★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2017 Autumn(秋号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。
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商店街活性化の情報誌「EGAO」


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