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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

商店街と住民の架け橋をめざす“ 彩りの路” 地域振興 震災復興 その他

宮古市中央通商店街が震災以前から実施していた植栽の整備事業「花香る散策路」。街のシンボルともいえる植栽を通じ、商店街がいま再び街に彩りと活気を取り戻そうとしている——
(平成27年度トライアル実行支援事業・平成26年度トータルプラン作成事業・他)

商店街名 宮古市中央通商店街振興組合/岩手県宮古市

癒しの植栽で商店街をふれあいの場に

「植栽活動」を通じて、地域住民との架け橋をつくり、来街者の回遊性を高めたい。
全員一致の目標を掲げ、'15年度のトライアル実行支援事業に取り組んだ中央通商店街。背景には、トータルプラン作成支援事業で、自分たちの〝強み〞やめざすべき方向をじっくり見極めた1年間があった。事務局の坂本さんは「組合員ひとりひとりが同じレベルで課題を共有することができた」と振り返る。

その経験をもとに、新しく開始したのは「植栽サポーター募集」。これまで組合員で行っていた植栽活動に住民の参加を仰ぐことで、商店街と地域住民とのコミュニティ形成を図る。時を同じくして商店街エリアに建設された災害公営住宅に新住民の入居も始まり、新旧住民の触れ合いの場としてもこの活動は大きな役割を果たすことに。

'15年10月から植栽メンテナンスの他、冬季でも楽しめる室内グリーン製作など5回のワークショップを実施。植栽活動を継続的に行ってきた地域の女性を中心とするみずき会も全面的に協力、PR用のチラシ・ポスターの制作には宮古市在住のデザイナーも参加した。
商店街内では協賛店を募り、植栽サポーターへの割引などの特典制度を整えた。散策路と一緒に商店街の店舗も巡ってもらえるよう、散策路マップの裏面に協賛店と特典や割引などのサービス内容の一覧を掲載。賛同する店舗も増加中。現地マネージャー前川さんも「店主にも元気になってもらい、これからは将来に引き継げる商店街にしていきたい」と意気込む。
まずは、花(植栽)にかかわることでこの街を好きになってもらえれば……。そんな想いが「花香る散策路」づくりから商店街を満たし始めている。
   
                   

☆ここに注目①☆ 商店街を、庭の代わりに

災害公営住宅ができてからの初のイベントとなった室内グリーン講習会では、新住民も加わり土いじりを楽しみながら、交流を深めた

散策路MAPとメンバーズカード

長い歴史を持つ宮古市内には、代々宮古育ち、という人も少なくない。古くからの家があり、その家には広い庭があり、季節の花々や植物を育てて楽しむ。そんな風に庭いじりを楽しんでいた人々の多くは、震災によってその機会も喪ってしまった。新しく出来た復興住宅はマンションタイプの集合住宅。一部屋ごとに与えられたベランダでは、以前のような庭いじりは楽しめない。

「花香る散策路」の植裁サポーター制度は、そんな人たちにとっての庭代わりにもなれるかもしれないと坂本さんたちは考えている。実際、復興住宅で行われた室内グリーン講習会では久々の土いじりを「楽しい」と喜ぶ声も上がっていた。
買い物のために訪れる商店街、その街の景色の中に自分の植えた花がある。自分が育てた植物がある。それは商店街と住民の結びつきを強めると共に、震災によって消えてしまった思い出や楽しみを再び取り戻す一助にもなっていくことだろう。

☆ここに注目②☆ 各店舗に存在する”休憩所”

宮古市中央通商店街振興組合
専務理事 佐藤功さん
四季を感じながら、誰もがゆったり歩いて植栽を楽しみに来てもらえる商店街をめざす

中央通商店街の各店舗を訪れると、ふと気になることがある。店舗の中には、まるで休憩所のように机と椅子を置いている店があるのだ。その場所を、「気軽な休憩所として立ち寄ってもらえれば嬉しい」と語ってくれたのが「きものサロン初恵」の佐藤敦子さん。

復興住宅に住む人々は、実は元々この地域に住んでいた人たちとは限らない。年配の方も多い中で、新しい町で暮らしていく、ということは思ったよりも労力を使う。震災の傷も癒えない中、ひとり暮らしの心細さを抱えている人もいるかもしれない。そんな人達に、坂本さんや佐藤さんたちは積極的に声をかけていく。
「買い物をしなくても、ちょっと外に出て、ここでお茶でも飲んでいって、人と話す楽しみを感じてもらえたら……」。昔からの住民だけではなく、新しい住民たちにも商店街に馴染んでもらいたい。例えばバスを待つ間、買い物の行き帰り、ふとした時に立ち寄って知っている人がいる安心感。そんな安らぎを提供するために作られた休憩所は、地域住民の憩いの場にもなっている。

☆ここに注目③☆ 女性が強い商店街

宮古市中央通商店街振興組合
事務局 坂本智子さん
いままで築いてきた横のつながりを活かし、愛される商店街を目指している

中央通商店街、みずき会。商店街の女性たちによって構成されたその会は、震災後も中央通商店街を復興に導いていく大きな力となった。「元々女性の力が強い地域なんです」と教えてくれたのは「スタジオ310」の佐藤さん。その言葉通リ、震災後に落ち込む商店街の中でまず立ち上がったのも女性たちだった。

「花香る散策路」を象徴する花、というものも、女性を印象づけるワードだ。商店街を訪れる買い物客も女性が多く、そのためみずき会の人々の視点は大いに強みになっているという。坂本さんは事務にとどまらず、イルミネーションの設置や花壇の看板立てのために日曜大工まで行う働きっぷり。その他にも、植裁サポーターの協賛店でもある「カットサロンくろだ」では、理容室であるものの女性客を意識してレディースシェーブコースに割引を設けるなど工夫を凝らしている。
「女性が元気になれば、皆元気になる」。頼もしくそう語ってくれた言葉の通り、中央通商店街は元気な女性たちで溢れている。

 

☆ここに注目④☆ 東京からも応援が

東京から送られた苗を東北で育て、また東京へ送る—「道で咲かせよう東北の花」は、平成25年から始まり、現在(平成28年度)では3県8自治体25団体が参加しているプロジェクトだ。

宮古中央通商店街もこのプロジェクトに参加。「花香る散策路」の植栽サポーターたちと協力して苗を大きく育て、東京に送っている。都庁の近くに植えられた花は、東京の街を歩く人たちの目も楽しませているそうだ。

花を通して地域と地域を結ぶ交流が広がっている。

商店街で大きく育てた花の苗を

種類ごとにまとめて

梱包し、東京へ




 


★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2016 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。
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