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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

商人塾支援事業 イベント 地域振興 各種連携 人材育成

▶平成25年度 
 個店の魅力アップ入門事業(現:繁盛店づくり事業)
 商店街の組織力強化事業(現:トータルプラン作成支援事業)
▶平成26年度 
 まちゼミ研修事業

地域の活性化対策は、継続してこそ成果を呼ぶ。平成25年度から「個店の魅力アップ入門事業」「商店街の組織力強化事業」「まちゼミ研修事業」を活用、さらに「商人塾支援事業」で次世代リーダーの育成に取り組んだ入善町。商工会の呼びかけで始まった取組みは、商店街の主体的な動きへと結びつく。

商店街名 入善(にゅうぜん)町商工会 (富山県入善町)

イベントの成功の影で高まる危機感

県道沿いの徒歩10分程度の距離に3つの商店街が連なる入善町

商工会の青年部が開発した「入善ブラウンラーメン」

 入善町は、富山県北東部の、北アルプスの大パノラマを背後に控えた、黒部川扇状地に位置する。チューリップやジャンボスイカ、富山湾の海洋深層水で知られる、自然豊かな街だ。店舗はJR入善駅エリアに広く点在しているが、主たる商店街は駅前からの道に交差する県道に沿っている。
 金融機関も集まる県道約800mの区間には、銀座商盛会、中町共栄会、二十四軒町商栄会の3つ商店街が連なる。これらの商店街には生鮮食料品を売る店はなく、数軒あったスーパーも10年ほど前に姿を消した。元来、商店街の主体的な活動がほとんどない地域で、これら3商店街を中心とする「キラキラカード会」で店主間の交流はあるものの、近年はその会員数も減少が続いている。
 入善町の中心市街地を活性化したいと、入善町商工会青年部は平成11年から「入善ラーメンまつり」を開催。さらに平成21年度に同青年部は、オリジナルブランド「入善ブラウンラーメン」を開発し、翌22年には合同会社「善商」を立ち上げてその販売を開始した。このラーメンはヒットし、そのPR効果から、平成24年度にはラーメンまつりの来場者は3万人を数え、町内の飲食店も活気づく。同年から開催した街コンも恒例イベントとなった。
 
 しかし、これらのイベントで商店街は本当に活性化したのか。入善町商工会で経営を指導する藤田誠弘さんは、「イベントの成功で入善は元気な街と思われています。けれども、他県からの出店者や来場者があっても街で買い物をするわけではなく、地場の商業が元気ということでは決してないんです」と厳しい現実を語る。


○所在地:富山県下新川郡入善町
○商店街数:3商店街
○会員数:86店舗

まずは個店同士をつなげビジョンづくりに着手

入善町商工会の本多光一事務局長(中央)、藤田誠弘経営指導員(左)。入善町の活性化を強力にバックアップするキーパーソンたち

「キラキラカード会」の井田俊博会長。入善町の活性化のリーダーだ

 この状況に追い打ちをかけるように、大きな懸念材料が持ち上がる。北陸新幹線の開通(平成27年3月)だ。新幹線停車駅から離れた入善町の商業環境は、今後どうなるのか。3商店街の間に危機感が広がる。
 入善町商工会の本多光一事務局長と藤田経営指導員は、新幹線の開通を目前とした平成24年、なんらかの対策を講じて、商店街に正面から活性化に向き合ってもらいたいと、キラキラカード会の井田俊博会長らと話し合う。そして翌年、「個店の魅力アップ入門事業(現:繁盛店づくり事業 入門コース)」への応募が決まる。当初はカード会の加盟店のみを対象に考えていたものの、どうせなら3商店街全体で取り組もうと方針を変更。商工会がリードする形で、個々の店主に声をかけた。
「1日だけの短い研修でしたが、個店の経営に直に役立つ指導に目を見開かされました。座学の研修には、若手店主たちも含めて10名が参加したのですが、皆それぞれに気付くことがあったようで、その後、徐々に参加者同士で互いの店の悩みなどを話し合うようになりました」と、井田会長。店主同士が互いの経営改善のために一つになった最初の瞬間だ。
 この機を逃さず次に活かそう。井田会長を中心に、同年、「商店街の組織力強化事業(現:トータルプラン作成支援事業 ビジョンづくりコース)」にも取り組む。折角できた店主間のつながりを商店街全体の活性化に活かすには、まずは皆でめざすべきビジョンを共有することが大切と考えたからだ。
 ビジョンづくりには、商工会の呼びかけでさらに若手店主が加わり、参加者数は15名に。ワークショップで地域の歴史や特色をあらい出し、この商店街で何ができ、何をアピールしていくかということを突き詰めた。そして、10年後のありたい姿として、ジャンボスイカをモチーフにした町のキャラクター「ジャンボ~ル三世」を活用して地域の魅力を発信し、地域と連携したまちづくりを推進していくという共通認識を得る。
 ビジョンづくりから参加した野口大輔さんと米沢元さんはともに30代。野口さんは「この街の魅力について真剣に考えたことで、自分の地元愛を再確認した。異業種の人とも気軽に話し合えるようになった」と話す。また米沢さんは「互いに語り、文字にすることで、商店街への想いや、この先への考え方など、漠然と感じていたことが明らかになった。それを皆で共有できたことは意義がある」と振り返る。

              


35
歳の米沢元さんは
商店街に属さない居酒屋「越」を営む
       居酒屋「京之輔」を経営する野口大輔さんは33

商店街の連携を強化し若手リーダーを育成する

ビジョンづくりを通じ、意欲のある若手が台頭しだした入善町の商店街は、さらなるステップアップを狙い、平成26年度は「商人塾支援事業」に取り組む。
 前事業で作成したビジョンをもとに、より具体的な活性化のプランをつくり、それを実行に移すためには、推進力となる若手リーダーが必要となる。「商人塾支援事業」は、そのリーダーを育成するためのものだ。3つの商店街及びその周辺から若手を中心にベテランも含めて17名が参加した。
 事業の前半期の講義やワークショップでは地域活性化の多くのヒントを学び、志を同じくする塾生仲間と議論を重ねた。視察研修では、先進事例の現場を直接見る。「チャレンジショップを展開する岩村田本町商店街の話には、これなら自分たちにもできるのではないかと皆で大いに盛り上がりました」と米沢さん。各講師から得た活性化のアイデアで、入善町で実現できそうなものは貪欲に取り入れていこう、まずは何から行動を起こそうかと、研修の回を重ねるごとに若者たちの気勢は上がる。
 そして、とにかくできることからやってみようと、「まちゼミ研修事業」にも取り組み、昨年11月から12月にかけて、第1回まちゼミを、3商店街と近隣店舗合わせて20店舗22講座で開催した。

入善町商工会 実施事業
 

商工会主導の活動から新たな組織結成へ

入善町商工会の扇原紀昭会長。「人が育ってきた入善は、これからいい街になりますよ」と顔をほころばせる

「商人塾支援事業」最終回では、参加者皆が問題点と改善策を書き出した

JR 入善駅の駅前。北陸新幹線の停車駅からここをバス便でつなぐ。中心商店街までの人の誘導もこれからの検討課題だ

「商人塾支援事業」の後半では、前半で学んだ事例などをもとに、具体的な活性化のプランを練り上げた。
前年度作成した10年後のビジョンを実現すべく、いつ、何をするべきか、短期プランをベテランが、中長期プランを若手が担当。短期プランとしては、今できることから始めようと、高校生などを対象とする住民参加型の商店街マップづくり、食料品店や惣菜店の誘致、まちバルの開催などの案が出される。また、中長期プランとしては、商店街だけではなく中心市街地を含めた活性化プランが検討され、例えば、チャレンジショップの開設や、駅から中心市街への動線づくり、まちなか憩いの場づくりなど、様々なアイデアが挙がった。
加えて、中長期のプランを実行するためには、調査、実行、連携などの役割を分け、多方面から対応出来るような新たな組織をつくらなければならないという、次の課題も明確になった。
熱意を持って事業に参加した店主たちは20代から70代。以前は商工会の青年部と壮年の同友会は連動せず、3商店街の交流も、カード会加盟店以外にはなかったことが、今では信じられない。「この事業を通じ、商店街の垣根だけでなく、親子ほどの年齢の垣根も越えてともに取り組んでいける土壌ができたのが何よりうれしい」と、カード会の井田会長。「あらゆる面で人と人がつながり、課題を解決する良い関係ができました。年配の方たちも僕たち若手の意見を受け止めてくれて、本当にありがたい。皆で一緒に街の未来を作っていけそうです」と若手の野口さんも力強く語る。
平成25年度から次々に取り組んだ4つの事業を経て、店主たちの活性化に対する意識は大きく変わり、若い世代は驚くほど力をつけた。そして何より、入善町の商店街は、今や強い団結力を持つ。活性化の正念場を迎える準備は整った。
今後、短期プランに直ちに取りかかり、中長期プランは新しい組織で取り組む。それを担う柱は、もちろん若手リーダーたち。その新組織ができれば、商工会主導で始まった活性化の取組みは移行される。
折しも町では、北陸新幹線が停まる「黒部宇奈月温泉駅」から入善駅へ、新幹線の発着に合わせたバスを運行することが決まった。25分離れた駅から、観光客を呼ぶために、特産品や景観を活かした仕組みづくりも急務となる。
自然豊かな環境が魅力の入善。
その魅力も地域の活性化に存分に活かすことができるだろう。目指すべき未来と、そこへの道のりが見えてきた。


入善町の「商人塾支援事業」
プログラム

1 9/22

「元気な商店街の成功要因」 座学研修

(株)全国商店街支援センター社長 桑島俊彦

5 11/45

視察研修

烏山駅前通り商店街振興組合、戸越銀座商店街振興組合、
岩村田本町商店街振興組合

2 10/9

「地域と共に地方商店街が目指す次世代まちづくり」 座学研修

岩村田本町商店街振興組合理事長 阿部眞一氏

6 12/2

「『未来希望図』実行時期の検討」 ワークショップ

越澤中小企業診断士事務所代表 越澤勝氏

 3 10/21


「人が集う商店街とは」 座学研修

(有)協働研究所取締役 東朋治氏

7 12/16

「ロジックツリーを使った解決策の検討」 ワークショップ

越澤中小企業診断士事務所代表 越澤勝氏

 4 10/24


「中心市街地復活の七つのツボ」 座学研修

(独)中小企業基盤整備機構 商業復興支援課長 長坂泰之氏

8 12/22


「プラン実現のための具体策検討」 
ワークショップ・発表

越澤中小企業診断士事務所代表 越澤勝氏

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