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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

トータルプラン作成支援事業 ビジョンづくりコース (平成25年度 商店街の10年後を目指したビジョンづくり) 地域振興 各種連携 創業促進 人材育成

実践者の講演やワークショップを通じて、自らの商店街のビジョンをつくる「商店街の10年後を目指したビジョンづくり」。本事業に参加した岡山県津山市の本町3丁目商店街では、研修を重ねるごとに会員の意識は高まり、商店街の問題を自分の問題として捉えるようになった。今後は作成したビジョンをベースに、夢をカタチにするためのさまざまな取組みや研修が続く。

商店街名 協同組合本町3丁目(岡山県津山市)

本町3丁目商店街

知恵で商店街の 未来に挑む

 岡山県北部に位置する津山市は津山藩の城下町として発達した都市である。旧出雲街道の宿場町として古くから商業が盛んで、津山駅周辺の街道沿いには11の商店街が連続している。本町3丁目商店街も旧出雲街道に面し、江戸時代の商家を利用した店舗もある、昔からの営みを感じさせる商店街だ。
 しかし、平成11年に行われた開発事業によって、この地域の商業環境が変わる。市街地環境を改善するための施設として誘致されたアルネ・津山が、集客の拠点として一定の効果を出すものの、各商店街を縦横に往来していた利用客の導線を分断してしまい、商店街に集まっていた人の流れを変えてしまったのだ。加えて近年、商店主の高齢化と後継者不足により、商店街には年々空き店舗が増え、その活気は失われつつある。このままでは、商店街が無くなってしまうかもしれない、と危機感を募らせた(協)本町3丁目の水野明浩代表理事らは、「資産は少ないが、商店主たちの知恵はある。知恵を使って、商店街を何とかしたい。そのためにはしっかりとした方向性を示すことが大切だ」と『商店街の10年後を目指したビジョンづくり』に応募した。

広域図



所在地:岡山県津山市 店舗数:30店舗


 

ビジョンを持つことで意思統一

            
協同組合本町3丁目 水野明浩代表理事           協同組合本町3丁目 臼井信吾理事

 講演やグループ作業を含む全3回の研修が行われた。講演では、長野県佐久市の岩村田商店街と東京都品川区の戸越銀座商店街の代表理事から、個店ではなく商店街全体としてのコンセプトに沿った空き店舗の活用方法やブランドの打ち出し方法などを聞く。3回の研修を通じて行うグループ作業では、商店街の「10年先のありたい姿」を整理し、コンセプトを作るとともに、それを具体的にマップ上に描き表わすことで「未来希望図」を作成する。1回目で、商店街の強みと弱みを洗い出す作業を行い、自分たちの強みは「顔が見えて仲が良い。つながりがある」との共通認識を得た。2回目で、「商店街として人に自慢したいこと」「増えたらいいもの、減ったらいいもの」など、発散型の話し合いを行った。誰もが気軽に意見を出せるように講師が場を作り、普段は消極的な人も、この商店街を良くするためにどうしたらよいか、というテーマに基づき、積極的にアイデアを出し合っていった。
 アイデアを出したのは、研修参加者だけにとどまらない。2回目と3回目の研修の間には、参加者以外の商店主たちも含めて分科会が度々行われ、例えば、研修で課題として上った空き店舗対策については、参加者以外からも、「自分の持っている空き店舗物件の家賃を下げる」、「この商店街で活動してみたいと考えている(ものづくりの)アーティストを紹介する」などの意見も出された。人を紹介してネットワークを構築することを、人任せでなく、自分のこととして具体的に考えられるようになったのだ。
 「(このような)話し合いをたくさん行ったことで、商店街の結束力がより一層強まり、商店街全体で街を良くしたいという意識が高まりました。皆で一緒のビジョンを共有することで多くの店主が未来に夢を持つようになっていきました」と、臼井理事は振り返る。
 そして3回目のワークショップでは、今まで出された様々な意見を集約。コンセプトは、「明治・大正モダンを意識した景観統一。懐かしく新しい、テーマパーク型商店街を目指します!」に決定し、子育てサロン、若者が集う“ものづくり”の工房などを盛り込んだ、にぎわいあふれる「未来希望図」が完成した。未来の商店街のビジョンが、誰にでもイメージしやすい形で表された。




  商店街の10年先を皆で想い描いた「未来希望図」

10年先に向けて動き出す

 研修を進める過程で、思わぬ嬉しい出来事も。「空き店舗対策」を具体的に捉えるために、空き店舗のリストアップと店舗の持ち主への連絡などを行った際、商店街にある大きな駐車場の持ち主の建設会社から活性化への協力の申し入れがあったのだ。また、「未来希望図」に架空のイタリアンレストランを記したところ、まさにその場所に、偶然にも本物のイタリアンレストランが出店するという驚きもあった。今、水野代表理事は「本気で考えている人間には同じ想いの本気の人間が集まる」と肌で感じている。
 (協)本町3丁目は、今後、ビジョンを具現化するために「未来希望図」をベースにしたアンケートを作成し、地域のニーズ調査を実施する。また、「ビジョンづくりコース」の先のステップである「プランづくりコース」への応募も予定している。このコースを通じて個店の力の大切さにも気づいたので、支援センターの別の事業、「繁盛店づくり事業」にも取り組み始めた。
 「将来的に、景観の統一はもちろん、トイレやWi—Fiなどのインフラを整え、お客様へのサービスを向上させていきたい。また、商店街の中に工房を作り、“デザインする人がいて、それを商品にする人がいて、店頭やネットで商品を販売する人がいる”、そんな“ものづくり”を中心とした商店街を目指したい。同じ想いを持つなら、商店街以外の人の参加も大歓迎です」と水野代表理事。街は未来を見据えて確実に動き出している。

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