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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

商人塾支援事業(平成25年度 THE商人塾!事業) 各種連携 個店活性 人材育成 コミュニティ

街の将来は、個々の商店街だけでなく、地域全体で考えていくことも必要だ。そのためには商店街の枠を越えて協力し合える人材の存在が大きな意味を持つ。「THE商人塾!事業」は、そうした次世代の若手リーダーを発掘・育成する。平成25年度、商工会議所の呼びかけで「THE商人塾!事業」に取り組んだ八王子市では—。

商店街名 八王子商工会議所

プラン作成のワークショップでは参加者各自の意見出しを行った

にぎわう街に潜む 危機を回避するために

地域:八王子市中心市街地12の商店街が本事業に参

 JR中央線の八王子駅と京王線の京王八王子駅の2駅を擁する八王子の中心市街地は、都心のベッドタウンであるだけでなく、甲州街道の宿場町として長い歴史を持ち、駅周辺には数多くの商業ビル、飲食小売店が建ち並んでいる。同地域は周辺地域から多くの人が訪れ、一見栄えているように見える。しかし地元商店会は将来への不安を感じていた。その要因として、近隣地域との都市間競争や事業継承などの問題がある。それに加え、かつていくつもあった駅近くの百貨店は、4年前の「そごう」を最後にすべて撤退し、商店街の置かれている環境が変わり始めている。街なかには大規模マンションも増え、人口は増加すれども、消費者ニーズの多様化への対応の遅れなど、商店街には衰退への危機感が潜む。

 商店街に「体力」のあるうちに何か対策を講じなければ…。この危機感が、今までつながりのなかった商店街同士を結びつけるきっかけとなった。

 「街全体を面としてとらえ活性化を進めるためには横の連携が必要。また他地域の取組みに触れ、商売を通して地域と共存共栄をはかるためにもコミュニティの必要性を感じてもらい、各個店の経営力の向上と、ひいては商店街の活性化への気づきを得てほしかった」と事業の取りまとめ役となった八王子商工会議所の下里直之経営指導員は「THE商人塾!事業」への参加理由を語る。

各地の先進商店街の事例に触れ わが街の方向性を検討

八王子北口商店会の清水栄さん。駅前で父から引き継いだ駐車場等を営む

八幡町商店会副会長の高倉一郎さんは、眼鏡店「タカクラメガネ」2代目

八王子駅前から国道20号線沿いにかけてある14の商店会のうち、12商店会から22名が塾生となった。20代から50代までの若手たちだ。駅前の大型店や行政等もオブザーバーとして加わり、昨年10月下旬から4ヶ月間、全6回のカリキュラム(座学研修5回、現地視察1回)が開催された。

 座学研修では、地元で街づくりを積極的に行っている講師の方々から実践に基づく活性化のヒントを学んだ。例えば静岡県富士市の事例については、現地視察によって、地元NPOによるコミュニティの場づくりとしての空き店舗活用事例などを見学した。

 「多くの商店街の話を聞いて、八王子も同じだと感じました。だから、自分たちも望みを捨てず、活性化の道筋を考えなければいけない、と。どの街でも、熱意を持って動く人がいてこそ変わっていく。だから八王子にも、しっかりと戦略を持ったリーダーが必要だと思いつつ、でも、自分はそんなリーダーになれるのだろうか、と自らを省みました。」と参加者の一人、八幡町商店会の高倉一郎副会長は振り返る。

 

八幡町近くの大久保長安陣屋跡の産千代稲荷も観光資源に

 商人塾の後半では、4グループに分かれて「街のコンセプト」を作成した。例えば、八王子北口商店会の清水栄理事のグループがまとめたコンセプトは「食べ歩きのまち ミシュラン八ッ星商店街」。大型店や飲食店も参加したことで、重層的な話し合いの場が持てたという。また、駅から2キロメートルあまり離れた高倉さんたちのグループでは「遠くの巣鴨より近くの八幡町と八日町」。地域の高齢者には便利さと安心感、来街者には老舗商店や大久保長安ゆかりの歴史・文化を訴える方向性を打ち出した。

市の都市計画に提言する 地域別勉強会に発展

「街のマイスター」バッヂ。今後もさまざまな機会にマイスター認定を行っていく

  「回を追うごとに、それまで交流がなかった方たち同士につながりが生まれ、火がついていった感じです」と下里さん。7割以上出席した塾生には、商工会議所が「街のマイスター」として表彰し、特製のバッヂを贈った。
 
 八王子の広範囲から集まった参加者がともに話す中で、改めてわかったこともある。エリアごとの客層や特色、抱える課題の違いだ。
 
 八幡町の高倉さんは「我々の商店会で見るべきは、まずは地元の方たち。シニア層の多いこの地域は商売もシニアのニーズに合わせて、商品の幅を絞って提供することが必要」と話す。一方清水さんが店舗を構える駅周辺は、飲食店や物販店が集まり、他地域からの客も多いことから、そぞろ歩きを促すイベントやキャラクターによるアピールに力を注ぐ。
 
 「THE商人塾!事業」の終了後、市はまちづくり会社に委託し、今度は地域別に分けての勉強会を始めた。同じ地域の商店主、地権者や住民など、多様な参加者の意見を集約し、都市計画に反映させるためだ。「THE商人塾!事業」で練られた4つの街づくりのコンセプトが、市の都市計画への提言として活かされる。
 
 「商店会同士連携しながらも、個性を活かした街づくりができそう。一緒に盛り上げていくのが楽しみです」と清水さん。
 
 若い力が街を動かしていく。
 
(※研修内容は実施年度や実施商店街などにより変わります)



 
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